24時間テレビ46で放送される特別ドラマ「虹色チョーク」は、実在する会社のノンフィンクション小説が元に
なっています。
このドラマでキーマンとなる「佐倉 結(さくら ゆい)」を演じるのが、俳優の芳根京子さんです。
そこで、芳根京子さんの役のモデルは実際に存在するのか、調査してみました。
さらに「虹色チョーク」の4つの幸せやキットパスの開発秘話をネタバレ公開していきます!
虹色のチョークの芳根京子のモデルは誰?
大日本チョークで仮採用として働き始めた知的障がい者。
雲や虹など天気に関するものが好きで、知識も豊富。
自閉スペクトラム症の傾向があり、広翔(道枝駿佑)よりもたった一日早く入社した自分を「先輩」と呼ばせたり、何かと「こだわり」が強い。
ドラマ内の会社「大日本チョーク」は、神奈川県川崎市に実在する「日本理化学工業」がモデルとなっています。
粉の出ない「ダストレスチョーク」が代表商品の、文具メーカーです。
道枝駿佑さんが演じる広翔(ひろと)は、日本理化学工業の4代目社長である大山隆久さんがモデルとなっています。
隆久さんは、父親である前社長の大山泰弘さんから2008年に会社を引き継ぎました。
では結は、果たしてどんな人がモデルになったのか気になります。
芳根さんの演じる結、とっても可愛いですよね!
「虹色のチョーク」結のモデルは実在しない!
芳根 京子さんの演じる「佐倉 結」に、特定のモデルは実在しないことが判明しました。
キットパスの開発過程、製造過程におけるさまざまなエピソードをもとに作り上げられた、オリジナルキャラクターのようです。
しかし、いちばん近い人物として、キットパス製造のリーダーとして働く社員の本田真士(ほんだ しんじ)さんがいらっしゃいました。
本田さんはキットパスの製造に初期から携わっており、社長の隆久さんは次のように語っています。
「ほんの少しでも歪みやヨレやムラがあれば、それをピックアップし練り直します。本当に特別な集中力と識別力で、本田君はそれを見極めることができます。私などにはできない作業を彼が担ってくれています」
結と同じく自閉スペクトラム症の傾向を持ち、時間の概念や時間間隔の理解に難しさを感じることがあるため、はじめは出社時間を守るのが難しかったそうです。
しかし、キットパス製造に携わるようになると、徐々に責任感が芽生え、遅刻することもなくなったそうです!
隆久さんは「本田さんの貢献がなければ、キットパスがここまで早く、会社の主力商品になることはなかった」と言っています。
自分の力を発揮できる仕事に巡り合うことは、人生そのものを変えることなのだと感じさせられますね。
キットパスの開発秘話をネタバレ!
日本理化学工業では、1980年より始まった少子化の影響やホワイトボードの普及によってチョークの需要が落ち込み、経営危機に陥ったこともありました。
チョーク製造のほかにも、いくつかの下請け作業を請け負っていたものの、会社の将来のためには、チョークに続く自社製品がぜひとも必要だと、自社商品の開発に取り組んでいました。
長年の研究の末、2005年についにキットパスを発売します。
キットパスの名前の由来は?
キットパスの名前の由来は「きっと、passする」から来ています。
pass=通過する、合格するという意味ですね。
キットパスには「きっとうまくいく」という願いが込められているのです。
製品には絶対の自信があったものの、問屋に売り込んでも「じゃあ、売れたら持ってきてよ」と言われる始末で、現実は甘くありませんでした。
転機となったのは、2009年にキットパスが、日本文具大賞機能部門においてグランプリを受賞したことでした。
そこから海外の展示会に出展する機会が増えていきますが、海外では石油系の素材を使っているだけで難色を示されることが少なくありませんでした。
当時は口紅の材料にも使われるパラフィンが主原料だったので、安全な素材ではあったのです。
しかしより環境に優しい商品をとの思いから、さらに研究を重ね、主成分をパラフィンワックスから米ぬか由来のライスワックスにリニューアルした「キットパス」2021年12月に発売しました!
パッケージもすべて紙素材に変えて、完全脱プラスチック化に向けて邁進しています。
虹色のチョークの「4つの幸せ」とは
虹色のチョークの「4つの幸せ」は、以下の通りです。
- 人に愛されること
- 人に褒められること
- 人の役に立つこと
- 人から必要とされること
「働く幸せ
導師は人間の究極の幸せは、人に愛されること、人に褒められること、人の役に立つこと、人から必要とされること、の四つと云われた。
働くことによって愛以外の三つの幸せは得られるのだ。
私はその愛までも得られると思う」
虹色のチョークより
隆久さんは、会社の経営を安定させるためには、もっと健常者を増やしていくことが不可欠だと考えていたこともありました。
チョークのマーケットはどんどん小さくなり、会社が弱体化していくなかで、焦っていたそうです。
しかし一緒に働いて従業員と触れ合ううちに、「すごいな、かなわないな」と素直に感動し、尊敬していくようになったことで、自分の考えが浅はかだったと思うようになりました。
健常者と障がい者の衝突
障がい者の面倒をみながら働く健常者の従業員に、不満がたまることもあったようです。
パートさんたちからは、「仕事ができない障がい者と同じ賃金ではやっていられない」との声も上がりました。
そこで前社長の泰弘さんが、「面倒を見てくれてありがとう」との気持ちから健常者に「お世話手当」を出すことになったそうです。
職場に円滑さが戻り、ほっと胸をなでおろしたものの、新たな迷いも生まれます。
健常者と障がい者が、お世話する側・される側に固定化されて良いのか、という苦悩です。
しかしそれが、「知的障がい者がお世話される側から脱却し、力強い労働者として成長していくことで従業員の幸せを叶える会社になる」との信念につながっていきます。
「うちに入った社員には、健常者でも障がい者でも、働く幸せを感じてもらう。
そして同時に、資本主義社会のなかで生き残っていかなければならない。
慈善事業を行っているのではありません。
障がい者が製造を支えている会社でもこれだけの経営ができるのだということを、業績で見せていきたいのです。」
虹色のチョークより
まとめ
日本理化学工業の実話を知ることで、よりドラマの世界を深く楽しむことができますね。
利益追求とヒューマニズムを実現させた、奇跡の町工場と言えます。
すばらしい取り組みを継続している日本理化学工業が、さらに発展していくことを願っています。