こんにちは。
新型コロナ禍対策として、住民税非課税世帯に給付される10万円の臨時特別給付金。
2022年4月8日、山口県阿武町(あぶちょう)が対象の463世帯相当分の計4630万円を誤って1世帯に振込み、回収できなくなっています。
阿武町は2022年5月12日、その世帯の24歳の男性(田口翔)を相手取り、全額の返還を求めて山口地裁萩支部に提訴しました。
この記事では
- 提訴までの経緯
- 事件を起こした田口翔の人物像・自宅
- 誤送金されたお金を使うことは犯罪なのか
- 男性からお金は取り戻せるのか
などの情報をまとめてみたので紹介していきます。
阿武町4630万円振込みミス問題、提訴までの経緯
経緯をわかりやすくまとめました。
間違って振り込まれた4月8日当日、町はただちに男性宅へ訪問。
男性も返還の意思を見せ、一緒に銀行に向かう。
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しかし、銀行の目の前で組戻し手続きを拒否し、職員を振り切って帰りその後、連絡が取れなくなる。
男性の勤務先で面会の機会を得るも、「弁護士と話す」の一点張りで返金に応じず。
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4月15日、男性の弁護士より阿武町へ「本人が組戻し手続きを行う」との連絡が入る
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阿武町は連絡を待っていたが音沙汰が無く、男性の自宅を訪れる。
4月21日の夕方に男性との接触に成功。
男性は「お金はすでに動かした、もう戻せない。犯罪になることはわかっている。罪は償う」と発言。
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誤送金のあった4月8日当日から既に多額のお金の引き出しがあったことが判明。
そこからカード決済の引落し等で頻繁に金が動かされ、2週間程の間にほぼ全額が口座から無くなっていたことが分かる。
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5月9日、一定程度の証拠が得られたため阿武町が民事訴訟を行う。
男性は職場を辞め行方不明に。
田口は「町に非がある」と主張していたものの、弁護士から返還義務があると聞かされたため、行方をくらましたのではないかと考えられます。
事件を起こした田口翔の人物像・自宅
実は男性が阿武町に住み始めたのは1年半ほど前からで、2020年10月のことのようです。
母親は山口県の別の市に住んでいるようで、そこから移住してきたのかもしれませんね。
町がYouTubeでもPRする「空き家バンク制度」を利用して引っ越してきたようです。
空き家への定住を促し、地域の活性化を図るというこの制度。
男性は町の中心地からおよそ15キロ離れた山あいの集落に住んでおり、この家の家主は、彼のことを「いい子よ。若いし男前」と話しています。
家の契約は解除しておらず、5月分の家賃は払っていたそうです。
↓自宅
住所と名前は公開されていますが、現在のところ、顔写真までは公開されていません。
誤送金されたお金を使うことは犯罪なのか
結論としては、たとえ振込みミスだとしても、返還義務はあります。
今回のケースでは法的には不当利得になり、返還義務が認められることになります。
その他、詐欺罪・窃盗罪・電子計算機使用詐欺罪が適用され、逮捕される可能性があります。
誤った振込みがあることを知った受取人が、その情を秘して預金の払戻しを請求することは、詐欺罪の欺罔行為に当たり、また、誤った振込みの有無に関する錯誤は同罪の錯誤に当たるというべきであるから、錯誤に陥った銀行窓口係員から受取人が預金の払戻しを受けた場合には、詐欺罪が成立する。
ATM機を使って引き出した場合は騙す対象(人)が存在しませんから詐欺罪ではなく窃盗罪(刑法235条)が成立する可能性があるというわけです。
https://osaka-keijibengosi.com/oosakasihiranoku-gohurikomi-settou-sagi/
また、ATM機を使って自分の口座等に振り替えをした場合は電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2)が成立する可能性があります。
誤送金されたお金は戻るのか?
罪になることとお金が戻ることは別問題で、残念ながら、金銭の回収は非常に難しい可能性が高いでしょう。
なぜなら、すでに使い込まれていたり、また、残っていたとしても返還されるためには男性名義の財産であることが証明される必要があるためです。
田口の口座からは既にお金が無くなっています。
原資は税金なので、非常に腹立たしいことです。
阿武町は確かに取り返しのつかないミスをしましたが、男性が一般的な良心を持っていたらすぐに返還され、ここまで大きな問題にはならなかったはずです。
そういう意味では、阿武町もかわいそうです。
ただ、一つ言えるのは、彼が自らの手で今後の彼自身の人生を真っ暗にしてしまったということです。
名前と住所を晒され、今後は顔写真等も出てくるかもしれません。
続報を待ちましょう。