職場の教養|家族との時間
Aさんは結婚して三十年が経過しました。
最近、二十歳になった息子は夜勤警備員のアルバイトを始め、妻もパートに出るようになり、家族が顔を合わせる機会はぐっと少なくなりました。
〈家庭を守り支えてきた妻も子育てが、区切りついた。息子も自分の将来を考えて若いうちに色々な社会経験をしたいと思ったのだろう〉と肯定的に考えました。
その一方で、Aさんは一人取り残されたような寂しさも感じました。
これまで、夕食後の団欒の時間、息子の学校行事や家族旅行など、家族と過ごす時間を何より大切にしてきたAさんだったからです。
年が明けたある日、Aさん一家は久しぶりに家族三人で食事に出かけることになりました。
そこで、今まで伝えてこなかったお互いへの感謝やねぎらいの言葉、思いやりの心に触れることができたのです。
Aさんは〈一緒に過ごす時間は少なくとも、妻も息子も家族を第一に考えて、一生懸命に過ごしてきたんだな〉と家族の心の絆に、喜びをかみしめました。
今日の心がけ◆家族を思いやりましょう
職場の教養 2025年1月号
感想例①
この話を読んで、私も最近の家族との関係を振り返ってみました。
皆それぞれの生活リズムで、顔を合わせる時間が減っているんですよね。
でも、この話のように「減った時間」を嘆くんじゃなくて、「ある時間」を大切にする発想が素敵だなって。
実は先日、久しぶりに家族で外食したんですが、いつもより会話が弾んで、新鮮な発見がたくさんありました。
息子が「実は親父の仕事の話、密かに尊敬してるんだ」って言ってくれて、めっちゃ嬉しかったです。
家族の絆って、時間の長さじゃなくて、心の距離なんだなって実感しました。
これからは「質」の高い時間を作っていきたいですね。。
感想例②
でも正直、この話って少し理想的すぎませんか?
現実の家族関係って、こんなにスムーズにはいかないと思うんです。
うちの場合、休みが合っても、みんなスマホを見てて会話が続かなかったり。
「感謝」とか「ねぎらい」とか、照れくさくて言い出せないことも多いですよね。
それに「家族第一」って言葉も、なんだか重たい期待を感じます。
家族だからって、無理に寄り添う必要はないんじゃないかな。
感想例③
家族の時間って、実は料理みたいなものかもしれませんね。
長年の付き合いは、じっくり煮込んだシチューのコクみたいなもの。
たまの外食は、ちょっとしたスパイスになって、いつもと違う会話を引き出してくれたり。
家族それぞれの個性は、和・洋・中と違う味付けみたいで(笑)。
でも不思議と、一つの鍋に入れると意外な味わいになったりする。
お互いの味を活かしながら、少しずつ調和していく。
そうやって育まれる「家族という味」は、きっと一生の宝物になるんだと思います。