見合わす|職場の教養
見合わす
世の中には様々な「あそび」がありますが、フランスの社会学者のロジェ・カイヨワは著書「遊びと人間』の中で、遊びの種類を四つに分類しています。
①サッカーやチェスなど競争を伴う遊び、②じゃんけんやサイコロなど運や賭けを伴う遊び、 ③ごっこや仮想、演劇など真似や模倣を伴う遊び、④ブランコやスキー、ジェットコースターなどめまいやスリルを伴う遊びです。
また、アメリカの脳神経学者のポージェス博士は、遊びの最中は交感神経が興奮状態になり、時に喧嘩に発展することもあると述べています。
同博士はそんな時、顔と顔を見合わすことを勧めました。
それだけでお互いの交感神経の興奮が収まり、自律神経が関係の修復に働き出すのだそうです。
デジタルの普及で、直接、顔と顔を見合わせなくても交流できるようになった昨今ですが、顔を見合わせての交流がもたらす効果を再認識して、職場内の良好な人間関係に活用することも必要ではないでしょうか。
まずは身近な人と顔を合わせて、笑顔を届けることから始めたいものです。今日の心がけ◆交流の機会を持ちましょう
職場の教養 2025年1月号
感想例①
遊びの4分類を知って、人間の娯楽の本質をうまく整理できたような気がします。
その中でも特に印象的だったのは、遊びが時に喧嘩に発展するという指摘です。
でも、そんな時は顔を見合わせるだけで自然と関係修復に向かうという事実に、人間の持つ不思議な力を感じました。
最近テレワークが増えて、つい便利なチャットやメールに頼りがちですが、やはり対面でのコミュニケーションには特別な価値があるのですね。
先日、チーム内で意見が対立した際、オンライン会議を一旦終了して、会議室で直接話し合いを持ったところ、不思議なほどスムーズに解決に至ったのです。
これは、まさに顔を合わせることで自律神経が働き、関係修復に向かったということなのかもしれません。
明日から、少し意識的に同僚と顔を合わせる機会を作ってみようと思います。
感想例②
顔を見合わせることの重要性は理解できますが、現代社会ではそれが難しい場面も多いのではないでしょうか。
例えば、グローバルに展開する企業では、海外のメンバーとオンラインでしかコミュニケーションが取れません。
また、マスク生活が日常となった今、顔の表情が読みづらく、かえってストレスになることもあります。
さらに、対面コミュニケーションを苦手とする人にとっては、むしろオンラインの方が本音を話せる場合もあるでしょう。
一概に「顔を合わせることが良い」とは言えない時代なのかもしれません。
感想例③
遊びの4分類を聞いて、私の飼い猫のことを思い出しました。
おもちゃを追いかけるときは競争遊び、どちらに飛びつくか迷うときは運任せの遊び、私の動きを真似するときは模倣遊び、高い場所から飛び降りるときはスリルを楽しむ遊びをしているんですね。
そういえば、猫同士が喧嘩になりそうなときも、お互いにじっと見つめ合ってから去っていくことがあります。
生き物の持つ本能的な知恵は、種を超えて共通しているのかもしれません。
人間も動物も、顔を合わせることで心が通じ合える、そんな素敵な仕組みを持っているんだなと感じました。