物の働きを生かす|職場の教養
物の働きを生かす
A氏は自動車部品を製造する会社を営んでいます。
自動車の部品は精密であるため、高性能な工作機械とスタッフの高い技術力が求められます。
A氏はある勉強会で、機械に汚れが付着すると、機械の動作に支障をきたしやすいということを指摘されました。
専門業者に定期的なメンテナンスは依頼しているものの、業務時間内に工場内と機械の清掃をすることにしたのです。
最初は、数人の社員が工場内の足場のゴミ拾いや機械を磨くことから始めました。
すると、全員が清掃に参加するようになり、継続するなかで、社員はネジの緩みや機械の油が切れていることに気が付くようになったのです。
その後、機械が故障する頻度が減り、年間のメンテナンス費用も大幅に抑えられたのです。
A氏も社員も、機械を清潔に保つことで、機械の摩耗や故障を防ぐことができ、生産効率の高まりを実感したのでした。
物の性能を最大限に発揮させるためにも、日頃から心を込めて機械や道具の手入れをし、大切に扱っていきたいものです。今日の心がけ◆機械や道具の手入れをしましょう
職場の教養 2025年1月号
感想例①
この事例から、日々の小さな心がけが大きな成果につながることを学びました。
私も仕事で使うパソコンやプリンターの清掃を後回しにしがちですが、この話を聞いて明日から実践してみようと思います。
特に印象的だったのは、清掃活動が全社的な取り組みに発展していった流れです。
最初は数人から始まった活動が、自然と全員参加になっていったことに、職場の良好な雰囲気が感じられました。
そして清掃を通じて、社員の方々が機械の状態に気づけるようになったことは、素晴らしい副次効果だと感じます。
まさに「清掃は点検なり」という言葉を体現していますね。
日常的なメンテナンスの大切さを、身近な例で示してくれた良い教材になりました。
感想例②
確かに清掃活動は大切ですが、業務時間内に実施することへの疑問が残ります。
生産性を重視するあまり、清掃の時間が形骸化してしまう可能性も考えられます。
また、専門業者への依頼と社員による清掃の線引きが曖昧になると、かえって故障のリスクが高まるのではないでしょうか。
それに「全員が清掃に参加するようになり」という部分も、強制的な雰囲気があったかもしれません。
清掃を担当する専門のスタッフを雇用する方が、かえって効率的という考え方もあるでしょう。
このように、一見良い取り組みに見えても、様々な課題が潜んでいる可能性があります。
感想例③
この話を聞いて、意外にも料理の世界を連想しました。
一流の料理人は包丁の手入れに非常に気を配るそうですが、まさに同じ考え方ですよね。
私の祖母も「調理器具は料理の相棒」と言って、毎日ピカピカに磨いていました。
そう考えると、物を大切にする心は、様々な職業や世代を超えて受け継がれる普遍的な価値観なのかもしれません。
最近のSDGsの考え方にも通じる、モノを長く大切に使う思想が根底にあると感じました。
実は物を大切にすることは、人を大切にすることにもつながっているのではないでしょうか。